SEO 公開日: 2024.04.22

E-E-A-Tとは?Googleが評価するコンテンツの基準や対策を解説

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E-E-A-Tとは、Googleの検索ランキングシステムが、ユーザーに有益で的確な情報を提供しているかどうかを評価するための指標の1つです。

今回はEEATとはどのような概念なのか、また、Googleのガイドラインを参考にしながら、評価されるコンテンツとはどのようなものなのか、ヒトノテの事例を交えて解説していきます。

E-E-A-Tとは

EEATとは、Googleがユーザーにとって有益で的確な情報を提供しているかどうかを評価する指標の1つです。2022年の12月から導入されました。

Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性)それぞれの頭文字をとっています。

E-E-A-T導入の背景に「WELQ騒動」

2016年、DeNAが運営していた医療情報サイト「WELQ」が、他サイトからの転載や不正確な情報を記事に掲載していたにもかかわらず、Googleの検索結果で上位表示されていることが問題視されていました。
DeNAは都福祉保健局の健康安全部や世間からの批判を受けて、最終的にWELQの全記事を非公開にし、「薬機法をふまえた監修体制をすみやかに整える」とプレスリリースを公開しました。

実際に、虚偽の情報をWebサイト上に公開していたり、他社のコンテンツを無断で転載した企業が訴えられるなどの判例もあります。

2018年【薬事法違反】サプリに関する成分に対し、虚偽の内容を論文に記載し、それをインターネット上に公開
2018年【著作権侵害】他社Webサイトの無断転載

Google検索を通じて提供される情報が、ユーザーの健康に悪影響を与える可能性が高まったため、Googleは2017年12月に健康アップデートを実施し、「医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなります。」と公表しました。

参照:医療や健康に関連する検索結果の改善について| Googleセントラルブログ

この頃から「EAT」「YMYL」という言葉が世の中に浸透し始め、GoogleもEATを重要視したアルゴリズムアップデートを繰り返すようになりました。

EATとはEEATの前身で、E-A-T(専門性、権威性、信頼性)の頭文字をとったものとなります。GoogleがEATをいつから提唱し始めたのか決定的なソースは見つけられなかったのですが、chat GPTによれば2014年頃からすでに言及されていたようです。

また、WELQ騒動以前からGoogleでは、お金、健康、人生に関わる情報の質が非常に重要とされる分野を「YMYL(Your Money or Your Life)」と位置付けており、これが再度見直されるきっかけとなりました。

YMYLについても、いつ頃から提唱されたかは定かではありませんが、chat GPTによれば同じく2014年頃からのようです。

E-E-A-Tにまつわる検索結果やSEOの変化

ここからは事例を交えながら、EEATが重視されるようになってからSEO業界で起きた変化を解説していきます。

サイト自体の種類や認知度が検索順位の重要な要素に

EEATが重視されるようになるにあたり、Webサイト自体の種類や認知度が検索順位の重要な要素となりました。検索順位は、サイトの評価とページの評価の掛け合わせで決まっています。
健康アップデート以前はその比重がページの評価の方が高かったのに対し、以降は徐々にサイト評価がランキングに占める割合が高まっているように感じています。

ここで実例を見ていきましょう。

以下は、ヒトノテで計測している「肺がん 病院」の2023年2月1日と2024年4月15日の検索結果の比較です。

左側の2023年2月時点では、病院検索サイトのランキング記事など、一般サイトも上位に表示されていました。(※赤枠内参照)しかし2024年4月の検索結果では、or.jpやgo.jp、もしくは病院などの機関が上位を占めており、一般サイトは表示されていません。

「肺がん 病院」という、非常にセンシティブな内容を扱うに値するサイトなのか、という点をGoogleが評価しているといえるでしょう。

続いて「薬 相談 24時間」というキーワードで比較してみます。

左側の2023年2月時点では、「ヘルスケアテクノロジーズ」という一般企業が1位を獲得していましたが、2024年は圏外へ飛んでいます。代わりに薬局や薬剤師会などのページがランクインしています。

このような比較からも、ページの評価からサイトの評価へ比重が移っていることがわかります。

そこに目をつけた「寄生サイト」の横行

Googleはページ評価からサイト評価に比重を移している…ということがわかって起きたのが、寄生サイトの横行です。「ドメイン貸し」という言われ方もします。
ドメインパワーの強いサイトが、自社ドメインの配下に別のサイトを作り、そのサイトも評価されるように狙う…という仕組みです。

自社と関連性のあるサイト(例えばオウンドメディアなど)で実施するのは問題ないのですが、全く別の会社のサイトやアフィリエイトサイトなどを作成してしまうパターンもあります。関連性が全くない上に、ユーザーを騙してクリックさせてしまうため悪質と言えます。

ここでイメージがつきやすいように、架空の例を挙げて寄生サイトを説明します。

例えば「歯列矯正 マウスピース」で検索したとしましょう。

1位に表示されているのはヒトノテ歯科クリニックの記事です。ヒトノテ歯科クリニックは、デンタルクリニック界隈ではそれなりのドメインパワーを持っているようです。

そこで何も知らないユーザーが、「1位の記事から読んでみよう…」とクリックしてみたところ

明らかに歯科クリニックではない全く別のサイトが表示された!これが寄生サイトです。

Googleがユーザーのためにと行ったアップデートが、裏目に出る結果となりました。
ただし2024年4月現在、Googleは「サイト評判の不正使用」として、このような寄生サイトを規制の対象としています。どのようなペナルティを課せられるかは、今後注視したいポイントです。

また、EEATの前身はEATでしたが、2022年12月に新たに加えられた「E」はExperienceの「経験」です。
寄生サイトが横行してから、単純に信頼性の高いサイトに載っていれば信頼するわけではなく、その情報が実体験をもとに書かれたものかどうかを重視する流れになっているのかもしれません。

生成AI V.S. Googleの構図

生成AIが作成したと思われるコンテンツを有するサイトのランクが下落してきています。
Googleは、人間がAIに書かせたテキストなのか、人間が実際に体験したことを書いているのかを見抜けるようになっているようです。

では、chat GPTを使った検証結果をいくつか例に挙げてみましょう。

①うどん屋さんでざるうどんを注文。その感想(200文字程度で)

▼弊社スタッフが作成したレビュー

うどんをより美味しく食べるために、空腹状態にしていざお店へ。暑いこともあり、ざるうどんを注文しました。
麺にはコシがあって、ツルッとしていて箸がどんどん進みます。おつゆには出汁が効いており、麺との相性は抜群でした。セットの薬味には茗荷、生姜、胡麻があり、味変しながら楽しみました。
古き良きお店といった雰囲気で、落ち着いた穏やかな時間を過ごすことができました。また妻とゆっくりしたいときに伺いたいと思います。

▼AIが作成したレビュー

うどん屋で注文したざるうどんは、麺が程よいコシとモチモチ感で、冷たい出汁との相性が抜群でした。出汁は深みのある味わいで、心地よい香りが広がりました。添えられた天ぷらはサクサクで、うどんとの相性が良く、さらなる食べ応えを与えてくれました。清涼感があり、夏場でも食べやすい一品でした。
また、店の雰囲気も居心地が良く、サービスも素晴らしく、全体的に満足のいく食事でした。

いかがでしょうか。AIの作成したレビューもなかなかの完成度ですが、下線部の「食べ応えを与えてくれた」や、うどんに対して「清涼感がある」という言い回しは、あまり使いませんね。いろいろなレビューを寄せ集めて書いたような印象も受けます。

②エラボトックス注射を受けた感想(200文字程度で)

▼弊社スタッフが作成したレビュー

顔に注射するということもあり緊張していましたが、先生が注射したい箇所を丁寧に確認してくれたので安心して任せることができました。筋肉注射なので、痛みは腕に注射するときと同程度の感覚です。
施術後数日は食事の際に口が開けにくいなどの違和感がありましたが、1週間経った今はすっかり元の調子に戻りました。写真を撮って比較したのですが、ボトックス注射をする前と後で明らかにエラがなくなってほっそりした輪郭になりました。大満足です。

▼AIが作成したレビュー

効果が非常に素晴らしく、顔のしわやたるみが目立たなくなりました。注射時の痛みや刺激は一過性であり、効果が現れ始めると数日から1週間程度で顕著に改善されました。ただし、効果は一時的なものであり、数か月から半年程度で元の状態に戻ることがあります。
総じて、自然な仕上がりで、満足度の高い治療でした。

AIが作成したレビューは、「一過性」「顕著に改善」など、少し硬い言い回しが目立ちます。また、クリニックの注意書きを参照したのでは?とも取れる一文も見受けられました。医療施術を受けた際のレビューは、まだ人間が書いたと感じられるレベルにはないようです。

このように、AIが作成したテキストには言い回しの違和感や、他サイトを参照したとわかってしまうような文章が見受けられました。

少なくとも2024年4月現在は、AIが作成したままのテキストでは、人間が作成した文章ではないことがわかってしまうようです。

E-E-A-T対策のために実施すべきこと

では実際に、EEATを意識したサイト作りやコンテンツ作りを実施していくために、どのようなポイントを押さえたら良いのでしょうか。

ここからはGoogleのガイドラインを参考に解説するとともに、実際にヒトノテのコンサルタントがクライアントと実施してきた事例を交えてお伝えします。

「Experience:経験」への対策

「コンテンツの作成者・監修者が、コンテンツのテーマに対してどの程度の経験を持っているかを考慮すべきである」と記載があります。その経験や体験が豊富であればあるほど、ユーザーにとって有益な情報となるためです。

また、ガイドラインでは「商品を使用した人のレビューと、使用していない人からのレビュー、どちらを信用しますか?」と具体例を挙げています。今後はますます、人が実際に商品を購入して書いたレビューや、サービスを利用して書いたレビューが重視されるようになるでしょう。

「Expertise:高い専門性」への対策

コンテンツ作成者がトピックに関して必要な知識またはスキルをどの程度持っているかを考慮します。と記載があります。対象としているテーマの専門性が高ければ高いほど、ニッチなテーマであればあるほど求められる知識も異なるためです。

例えば「アトピー性皮膚炎」について解説する場合。

監修者が内科医の記事と、皮膚科医の記事があったら、皮膚科医の記事の方がより専門性の高いものとなるでしょう。同じ医師でも、持っている専門知識は異なります。

◾️事例①

研修医を対象に専門医制度のコンテンツ作成を実施した際、同じ研修医でも専攻によって求められる情報が異なりました。
そのため「内科医 専門医制度」というテーマの際は内科医専門医制度の受験・合格実績のある方を、「外科医 専門医制度」というテーマの際は外科医専門医制度の受験・合格実績のある方を探し、記事の執筆を依頼しました。

◾️事例②

ヒトノテでは、コンテンツを作成する際、記事に下記の情報を載せられるようヒアリングするケースもあります。

・コンテンツの作成者
・監修者が該当の分野でどのような経歴を残しているのか
・登壇や受賞歴はあるのか・どこの企業に所属しているのか

監修者情報に上記の記載があれば、結果的に記事の信頼性が高まるためです。
以下の画像のようなイメージです。

「Authoritativeness:権威性」への対策

コンテンツ作成者または Web サイトが、頼りになる情報源としてどの程度知られているかを考慮します。と記載があります。コンテンツの作成者・監修者のブランディングや知名度などが最も影響する指標と言えるでしょう。

権威性の例として挙げられているのが、政府が作成したパスポート発行のための公式ページです。

①政府が作成している
②パスポート発行のために作成されているページ

上記の2点で、権威性の高いページの例として挙げられています。

◾️事例

Webサイトの権威性を向上させるため、下記の外部施策を提案することがあります。

・Googleマイビジネスに登録し、商品やサービスに関するレビューを集める
・行政と一緒にできる取り組みがあれば実施する(市区町村のページに掲載してもらうなど)
・被リンク対策、サイテーション対策
・指名クエリを向上させる(Youtubeチャンネルを開設する、CMを打つなど)

特に指名クエリの向上は、サイトの権威性向上に大きく貢献しそうです。

では、ここでいくつか例を挙げてみましょう。
まずは「転職サイト」で検索した場合の上位5記事と指名クエリの比較です。

順位サイト名URL指名クエリ検索Vol
1マイナビ転職https://tenshoku.mynavi.jp/マイナビ301,000
2dodahttps://doda.jp/doda246,000
3エン転職https://employment.en-japan.com/エン 転職135,000
4リクナビNEXThttps://next.rikunabi.com/リクナビネクスト135,000
5みらいワークスhttps://mirai-works.co.jp/media-career/column/tenshoku-site/なし

見事に指名クエリの検索ボリュームと順位が比例しています。
転職業界では指名クエリ=知名度(ブランディング力)=ドメインパワーとなっているようです。

続いて「証券」で比較。

順位サイト名URL指名クエリ検索Vol
1楽天証券https://www.rakuten-sec.co.jp/楽天証券4,100,000
2SBI証券https://www.sbisec.co.jp/ETGateSBI証券2,700,000
3野村證券https://www.nomura.co.jp/野村證券673,000
4大和証券https://www.daiwa.jp/大和証券368,000
5みずほ証券https://www.mizuho-sc.com/index.htmlみずほ証券株式会社1,600

転職業界と同様、指名クエリの検索ボリュームと順位が比例していることがわかります。

続いて「海外旅行」で比較。

順位サイト名URL指名クエリ検索Vol
1JTBhttps://www.jtb.co.jp/jtb550,000
2HIShttps://www.his-j.com/Default.aspxhis450,000
3阪急交通社https://www.hankyu-travel.com/阪急交通社301,000
4日本旅行https://www.nta.co.jp/日本旅行301,000
5近日本ツーリストhttps://www.knt.co.jp/日本近畿ツーリスト201,000

3位と4位の指名クエリの検索ボリュームは同列となりましたが、旅行業界も指名クエリと検索ボリュームの順位が比例していることがわかりました。

続いて「グルメ」で比較。

順位サイト名URL指名クエリ検索Vol
1食べログhttps://tabelog.com/食べログ550,000
2ホットペッパーグルメhttps://www.hotpepper.jp/ホットペッパーグルメ201,000
3ぐるなびhttps://www.gnavi.co.jp/ぐるナビ201,000
4グルメWatchhttps://gourmet.watch.impress.co.jp/グルメWatch1,300
5Rettyhttps://retty.me/Retty12,100

「グルメWatch」は指名クエリの検索ボリュームが他と比べて少ないですが、それ以外は概ね比例していました。

続いて「中古車」で比較。

順位サイト名URL指名クエリ検索Vol
1カーセンサーhttps://www.carsensor.net/カーセンサー1,500,000
2グーネットhttps://www.goo-net.com/グーネット450,000
3価格.comhttps://kakaku.com/kuruma/used/価格ドットコム1,000,000
4オークネット.jphttps://www.aucnet.jp/オークネット9,900
5ガリバーhttps://221616.com/search/ガリバー135,000

価格.comの検索ボリュームはかなり大きいですが、これは中古車以外にも多くのジャンルを扱っているためでしょう。オークネットの検索ボリュームは他社よりも圧倒的に少ないですが、中古車についても概ね比例しているようです。

最後に「美容院」で比較。

順位サイト名URL指名クエリ検索Vol
1ホットペッパービューティーhttps://beauty.hotpepper.jp/ホットペッパービューティー3,350,000
2楽天ビューティーhttps://beauty.rakuten.co.jp/楽天ビューティー74,000
3オズモールhttps://www.ozmall.co.jp/オズモール60,500
4美容室Wizhttps://www.r-wiz.com/ウィズ 美容室1000
5Hair&Make EARTHhttps://hairmake-earth.com/美容室 earth 8,100

ホットペッパービューティーが圧倒的1位ですが、3位までは指名クエリの検索ボリュームが多い順番になっているようです。
美容室Wizは指名クエリの検索ボリュームが極端に少ないですが、それ以外は他の業界同様、指名クエリと検索ボリュームが比例しています。

このようなことからも、サイトの知名度を上げること、ブランディングを実施することは指名クエリを向上させ、サイトの権威性を上げることに繋がると言えます。

「Trust:信頼性」への対策

Googleのガイドラインには、EEATの中で最もTrust(信頼性)が重要で、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)は、あくまでも信頼性の評価をサポートするための概念だと記載されています。

ここで実際に、例として挙げられているものをご紹介します。

「オンラインストアには、安全なオンライン支払いシステムと信頼できる顧客サービスが必要である」とされています。
決済システムがしっかりと機能していない、注文した商品が届かない、オンラインストアで掲載している商品より明らかに低品質な品が届いたなどのトラブルは、信頼性を大きく損なうと言えます。

また、「製品レビューは正直であり、他の人が十分な情報に基づいて購入を決定できるように書かれている必要があります。」との記載もあります。

「Experience:経験」と同様に、商品やサービスへのレビューはGoogleが信頼できるWebサイトかどうかを判断する重要な指標の1つとされていることがわかります。
また、先ほどご紹介したようにレビューをAIに作成させていると発覚した場合、サイトの評価が下がる可能性があります。

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ヒトノテ坪昌史

監修者:坪昌史

株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。

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