GA4のエンゲージメントとは?定義や計算式・メリットなどを解説
GA4のエンゲージメントとは、「Webサイトやアプリに対するユーザーの操作」を表す概念です。ページビュー、スクロール、リンクをクリックなど、「ユーザーにとって価値のある行動をとったかどうか」がエンゲージメントの定義です。ユニバーサルアナリティクス(UA)ではお馴染みだった「直帰率」は、GA4では廃止されました(その後のアップデートでGA4にも直帰率が追加されましたが、エンゲージメント率の逆数となっておりUAとは定義が異なります)。
次世代のWebサイト改善において重要な概念であるエンゲージメントについて理解を深めましょう。
GA4のエンゲージメントとは
まずは、エンゲージメントの意味や定義、関連する指標の定義や計算式について解説します。
従来の直帰率や離脱率のような単純な指標ではないため注意が必要です。今後のアクセス解析で、直帰率に代わり重要な指標になりますので、しっかりと理解しておきましょう。
エンゲージメントの定義を解説
Googleアナリティクスの公式ヘルプでは、以下のように説明されています。
・サイトやアプリに対するユーザーの操作です。
Googleアナリティクスの公式ヘルプより引用
・コンテンツ配信者の場合は、ページを下方向にゆっくりスクロールするといった操作がエンゲージメントになります。
・ユーザーが記事の長さを確認するためではなく、内容を読むためにスクロールしていることを示すエンゲージメントです。
・eコマースサイトの場合は、商品の詳細ページを閲覧する、特定のページに一定時間留まるといった操作がエンゲージメントです。
・オンラインバンキングアプリの場合は、口座の残高確認などです。
・大学のサイトの場合は、情報動画の視聴などがエンゲージメントになります。
実際に指標として使う場合には、もう少し具体的な計算式に落とし込む必要があります。次の章で詳しく見ていきましょう。
直帰率との違い
GA4の直帰率の定義はUAとは異なり、「エンゲージメントがなかったセッション」の割合となっています。つまり、エンゲージメント率の逆数です。たとえ1ページしか見ずに離脱したセッションも、「ユーザーにとって価値のある行動」をとっていれば、GA4では直帰とはなりません。
UAの直帰率は「ランディングしてから1ページも遷移しなかったセッションの割合」でした。同じページでもUAとGA4の直帰率は大きく異なるサイトも多いでしょう。
エンゲージメントのあったセッション数とは
エンゲージメント率の元になる「エンゲージメントのあったセッション」の定義は以下の通りです。
- 10秒を超えて継続したセッション
- コンバージョンイベントが発生したセッション
- 2 回以上のページビューもしくはスクリーンビューが発生したセッション
例えば、以下のようなパターンは「エンゲージメントのあったセッション」と言えます。
- サイト内の記事を1ページ熟読し、2分間滞在して離脱した
ページ遷移はありませんでしたが、書いてある情報が検索目的を満たすものだったと考えられるため、エンゲージメントがあったと判定されます。
- 「50パーセント以上のスクロール」をコンバージョンと設定しているページで、ユーザーが記事を最後までスクロールした
この場合もコンバージョンイベントが発生したためエンゲージメントがあったと判定されます。
- ユーザーが1回の訪問で3ページ回遊して離脱した
2ページ以上閲覧しているためエンゲージメントありと判定されます。この条件は直帰率と同様です。
エンゲージメント率の計算式と解説
エンゲージメント率とは、すべてのセッションのうち「エンゲージのあったセッション数」の割合を指します。
計算式で表すと以下の通りです。
エンゲージメント率 = エンゲージのあったセッション数 ÷ セッション数
直帰率とは異なり、数値が高いほどポジティブな指標となります。
平均エンゲージメント時間の計算式と解説
平均エンゲージメント時間は「ユーザーがアプリやサイトを実際に使用していた平均時間」を指します。
正確には、「Webサイトがユーザーのブラウザでフォーカス状態にあった時間」または「モバイルアプリがユーザーのデバイスでフォアグラウンド表示されていた時間」となります。
平均エンゲージメント時間の計算式は以下の通りです。
平均エンゲージメント時間 = ユーザーエンゲージメントの合計時間 ÷ アクティブユーザー数
平均エンゲージメント時間が長いほどユーザーの満足度が高い傾向にあると考えられます。
GA4でエンゲージメントを見る方法
GA4の画面でエンゲージメントを見る方法を解説します。
エンゲージメントのあったセッション数とエンゲージメント率は、GA4の標準レポートで見ることができます。
左カラムの「レポート」から「集客→ユーザー獲得」と進むと表示される表で確認しましょう。
デフォルトではチャネル別の指標が表示されますが、ディメンションを追加しランディングページ別や地域別に切り替えて見ることもできます。
より詳しく把握したい場合には、レポートをカスタマイズするか、探索レポート、Googleデータポータルを活用すると良いでしょう。
エンゲージメント分析をするメリット
エンゲージメント分析することで、「アプリユーザーの分析」「ユーザー行動のより深い分析」をできるようになるメリットがあります。
UAでは実現できなかった分析方法なので、取り入れることでサイトやアプリ全体の改善に役立てられます。
アプリユーザーの分析も可能
GA4はアプリの分析にも対応しています。アプリには「ページビュー」という概念がないため、エンゲージメント指標による分析が重要です。
GA4では、プロパティの中にWebサイトとアプリのそれぞれのデータストリームを作成できます。
レポートの中でデータストリーム同士を比較することもできるので、Webとアプリを同じ指標で横断的に分析することで、より細かなユーザー行動やニーズを捉えることが可能になります。
ユーザー行動のより深い分析が可能
エンゲージメントを分析することで、ユーザー行動をより詳細に把握することが可能になります。
例えば、UAでは「直帰」とされていたセッションも、「ページ内に10秒以上滞在」したり「コンバージョンセッションを発生」させたりした場合には「エンゲージメントのあったセッション」としてカウントされます。
ランディングページのように、1ページのみで完結するコンテンツの分析をより行いやすくなったと言えるでしょう。
エンゲージメントを向上させるために気をつけること
ここでは、エンゲージメントを向上させるうえで気をつけることについて解説します。
エンゲージメントが明らかになることで、これまで注目していなかった点も修正が必要になるかもしれません。以下の2点を重点的に見直しましょう。
レイアウトを整理すること
ユーザーにとって使いづらいデザイン(UI)のサイトは、ユーザーの直帰を誘発しエンゲージメント率が悪化する可能性があります。
たとえ良いコンテンツだとしても、ユーザーに閲覧してもらえなければコンバージョン率も下がってしまいます。ユーザーがストレスなく使用できるデザインやレイアウトになっているかどうかを確認してください。
以下の記事では、UI / UXについてさらに詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
・UI / UXの勉強の仕方とは?おすすめの書籍やツールを紹介!
・UI / UXとは?違いを理解して、改善と設計のポイントを知ろう
サイトの読み込みスピードを速くする
サイトやアプリの読み込み速度がわずか1秒や2秒遅れただけで、ユーザーが離脱してしまう確率が上がります。
コンテンツを見る前に離脱されてしまっては、エンゲージメント率は上がるはずがありません。当然コンバージョン率も下がります。何よりも、使いづらいサイトはユーザーからも検索エンジンからも評価されません。
不要なJavaScriptの削除や画像の軽量化などに取り組み、サイトの読み込みスピードを速くするよう心がけましょう。
読み込み速度を把握するためには、PageSpeed Insightsを使って読み込み速度を遅延させている問題点を確認しましょう。
サイトの表示速度やPageSpeed Insightに関する記事はこちら!
・表示速度はSEOにとって重要!計測方法&改善方法の事例をご紹介
・PageSpeed Insightsとは?分析・改善方法を解説!
エンゲージメントの概念は、ユーザー軸の評価につながる
エンゲージメントの概念が追加されたことで、GA4ではユーザー軸での評価が可能になりました。
エンゲージメント率とは、言い換えれば「ユーザーが価値ある行動をとった割合」となります。
従来版のGAであるUAは、セッション軸での評価を行うツールでした。
一方のGA4は、ユーザー軸での分析を行うツールです。UAの標準機能では評価できなかったページ内の行動を分析できるようになったことで、これまでとは全く違う結果が見えてくることがあります。
次のような例で見てみましょう。
1セッション目:ユーザーがコラムページに訪問し、ページを読了した上で直帰した
2セッション目:同じユーザーがコラムページに訪問し、商品ページまで進んでコンバージョンした
UAでは、1セッション目が直帰率100%の「ユーザーにとって価値のないセッション」として扱われてしまい、評価の対象とはなりません。
GA4では、1セッション目についてもエンゲージメント率100%となり、コラムページが2セッション目のコンバージョンをアシストした効果が評価できます。
このようにGA4では、「ユーザーがセッションごとにエンゲージメントを重ね、最終的にコンバージョンに繋がった」と正しく評価できるようになりました。
まとめ
ページを評価する指標として新たに導入されたエンゲージメントについて解説しました。
UAではセッション軸で直帰率や離脱率が使われてきましたが、1ページで完結するWebページやページビューの概念がないアプリの分析には不向きでした。エンゲージメント指標を活用することで、これまで把握できなかったユーザー行動を分析することが可能になっています。
GA4のエンゲージメント指標としては、エンゲージメントセッション数、エンゲージメント率、平均エンゲージメント時間を使用します。
指標の詳細な仕様については、Googleアナリティクスのヘルプを参照してください。
エンゲージメントを活用し、Webサイトのユーザビリティ向上につなげましょう。
執筆者:山本卓真
株式会社ヒトノテのSEOコンサルタント。中小企業から大企業まで様々な規模、業種のサイトのSEOに携わる。WEBマーケティングの広い知見と経験をもとにクライアントと伴走することが得意です。
監修者:坪昌史
株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。
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