ChatGPTがSEOに与える影響とは?SEOやコンテンツ制作のツールとして活用する方法も紹介
ChatGPTのビジネス利用や利用者拡大により、SEOへの影響や関わりが気になる問題でしょう。
ChatGPTは、質疑応答・サイト検索・自動翻訳・文章生成などを行えるAIチャットボットです。2022年にリリースされ、約2カ月で1億人のアクティブユーザーを獲得し、社会に大きなインパクトを与えました。
Googleなどの検索エンジンは、ChatGPTの流行を受け、ユーザーを確保するためにAIチャットボットのサービスを展開して対抗しようとしています。
本記事では、ChatGPTがSEOにどのような影響を与えるのかを解説します。ChatGPTをSEOやコンテンツ制作のツールとして活用する方法も紹介します。ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
ChatGPTとは?
ChatGPTとは、OpenAIが開発した、人工知能を活用した自然言語生成モデルのことです。
OpenAIは、2015年に設立された非営利団体で、全人類に利益をもたらす人工知能システムの構築を目指しています。イーロン・マスクなどの有名な実業家が出資していることもあり、設立の際は大きな注目を集めました。そんなOpenAIは、2022年11月30日にChatGPTを公開し、リリースから2カ月で1億人のアクティブユーザーを獲得しました。
ChatGPTの特徴は、人間とチャットしているように会話形式でやり取りできることです。質疑応答だけではなく、サイト検索や自動翻訳、文章生成などのさまざまな方法で活用されています。これまでもAIが回答するチャットボットはあったものの、ChatGPTはそれらを大きく上回る知識量と柔軟性を誇ります。人工知能によって常に回答の質を向上しているため、今後もさらに自然で正確な文章を生成できるようになるでしょう。
ChatGPTでできること
ChatGPTの特徴は、質問に対して人間が書いたような自然な文章で回答を返してくれることです。通常の検索では、検索結果に表示された記事を比較して、自分の知りたい情報を探す必要があります。しかしChatGPTなら、知りたいことにピンポイントで回答してくれます。
下のキャプチャは、ChatGPTに「おすすめの東京グルメはどこ?」と聞いたときの回答画面です。
寿司やラーメンなど、ジャンルごとのおすすめ店舗を紹介してくれています。しかし、ChatGPTでは正確性がまだ欠けるため、正確な情報か否かの判断は人間が行う必要があります。
Googleで「おすすめの東京グルメ」と検索すると、「TOP50」のような記事が表示されます。検索上位10件で紹介されている店舗は合わせて200店ほどあり、その中から選ぶとなると一苦労です。しかしChatGPTは、そのような情報から厳選した情報だけを返してくれるため、短時間で情報を入手したい場合におすすめです。
ChatGPTはSEOに有効なのか?
まず前提として、ChatGPTを使用して作成したコンテンツだからといって、ペナルティや低品質の対象となることはありません。
Googleは以下のように発表しています。
AIや自動化は、適切に使用している限りは Google のガイドラインの違反になりません。
Googleのシステムは、コンテンツの作成方法にかかわらず、重要なトピックに関する確立されたコンセンサスと矛盾する情報ではなく、信頼できる情報源からの高品質の情報を表示するように設計されています。
有用、有益なオリジナルコンテンツで、E-E-A-Tの基準を満たすものは、検索で上位に表示される可能性が高くなります。作成方法ではなく、内容が評価の対象となります。
『AI生成コンテンツに関するGoogle検索のガイダンス』Google検索セントラル
上記から「作成方法ではなく、コンテンツの内容が重要」ということがわかります。そこで重要になってくるのが「E-E-A-T」を意識したコンテンツ作成です。E-E-A-Tとは、Googleがコンテンツを評価する際の4つの指標のことです。
- E:Experience(経験)
- E:Expertise(専門性)
- A:Authoritativeness(権威性)
- T:Trust(信頼性)
E-E-A-Tに関する記事はこちら
E-E-A-Tとは?GoogleがE-A-Tに変わる検索品質評価ガイドラインを更新
仮に、ChatGPTを使用した文章やコンテンツであっても、E-E-A-Tが満たされていれば検索で上位に表示されるといえます。
ただし、ChatGPTでE-E-A-Tのすべてを満たすコンテンツを作成するのは困難です。とくに「経験」については、人間ならではの情報のため、ChatGPTによるテキストでは満たすのが難しいでしょう。
そのため、ChatGPTを使用してコンテンツを作成する場合は、生成された文章をしっかりと人の目で確認しながら、信頼できる情報やオリジナルの内容に磨き上げることが重要です。
ChatGPTをSEOのツールとして活用する方法
ChatGPTだけでコンテンツを作成するのは危険ですが、ツールの1つとして活用することはおすすめです。たとえば以下のように質問すれば、見出しを作る際のアイデアを提案してくれます。
すべてをChatGPTに任せるのではなく、アイデア出しや競合記事の調査など、要所要所に活用することで作業の効率化を図れます。
ChatGPTの公開を受けた各検索エンジンの動き
ChatGPTの公開以降は、OpenAIが大きな影響力を持っており、他社の一歩先を進んでいます。日本でも多くのユーザーを集めており、「AIチャットボットといえばOpenAI」というイメージも生まれつつあります。このままでは、検索エンジンのユーザーがChatGPTへ流れてしまう可能性もあります。
そのため各検索エンジンは、OpenAIに遅れを取らないように、AIチャットボットの公開・開発を進めています。実際にGoogleとBingは、2023年に入ってから相次いでチャットボットの開発を発表しました。
ここからは、GoogleとBingの動きについて紹介していきます。
Googleの動き
Googleは、2023年2月にAIチャットボットの「Bard」を開発していることを発表しました。Bardは、ChatGPT同様にユーザーからの文章での質問に回答するサービスです。Googleが2021年に開発したLaMDAという言語モデルをベースにしており、インターネット上の情報によって応答する機能もあるといわれています。
まずはテストユーザー向けに公開され、2023年3月21日に英米向けに一般公開されました。ただ、ChatGPTの流行を受けて、もともと開発を進めていたものを先立って公開したともいわれています。不正確な回答を返していたことが明らかとなっており、一部では失敗だという声もあるようです。
2023年5月11日には、日本語にも対応したことを発表しました。Googleは、「今後、多くの国と言語に拡大する」「世界の幅広い知識と大規模言語モデルの能力・知性・創造性を組み合わせることを目指す」と公表しており、Bardのさらなる精度向上が図られています。
また、検索エンジンにもAIを導入し、ユーザーが求める検索結果を表示できるようにしていくと発表されています。とはいえ、通常の検索画面とは異なる場所に導入されるため、Bardを利用する際には検索の要素は関連しないようになる見込みです。
Bingの動き
Microsoftは、2022年にOpenAIとGPTモデルを共有しました。その後、2023年2月にOpenAI社が開発した言語を適用したAIモデル「Prometheus(プロメテウス)」を発表。さらに、Prometheus とBingの検索サービスを統合した「Bing AI Chatbot」のリリースを発表しました。
Bing AI Chatbotは「GPT-4.0」を搭載しており、Googleとは対象的にアメリカでも高い評価を得ています。すでに一般ユーザー向けに公開されており、日本語でも使用できます。
Bing AI Chatbotは、回答が正しいのかどうかを自分で吟味したいユーザーにおすすめです。なぜなら、現状の検索に融合した形で搭載されているからです。ChatGPTは質問に対する答えだけを返しますが、Bing AI Chatbotは答えの情報源となるWebサイトも明記してくれます。
どのAI Chatbotも情報の正確さに課題を残しており、Bing AI Chatbotも間違った情報を返すこともあります。そのため、情報源を記載するという仕様は、多くのユーザーに安心感をもたらすでしょう。
ChatGPTなどのAIチャットボットはSEOにどう影響していくのか?
ChatGPTなどのAIチャットボットの登場によって、インターネットは急速に変化していくと予想されています。では、SEOはどのように変化していくのでしょうか。
ここからは、ChatGPTが今後のSEOや検索にどのような影響を与えるのか紹介していきます。
ChatGPTが作成したコンテンツはSEOに有効なのか?
先述の通り、人の手を加えず、ChatGPTだけで生成されたコンテンツは、検索エンジンに評価されづらいでしょう。GoogleがE-E-A-Tの重要性を謳っているように、人間にしか生み出せないオリジナリティのあるをコンテンツを作成することが重要です。
そのため、ChatGPTにコンテンツ作成を一任するのではなく、分析やアイデア出しなどの作業を効率化させるツールとして活用するのが有効でしょう。
たとえば分析では、Google Search ConsoleやGA4(Google Analytics 4)で取得したデータをスプレッドシート・エクセルなどでまとめる際に、目的に応じた最適な関数などをChatGPTで検索できます。
またアイデア出しでは、ChatGPTで対策キーワードに対して「関連する悩みを箇条書きで10個出して」と依頼すると、自分で想定できなかった悩みを発見できます。ChatGPTでユーザーのニーズを深掘りすることで、E-E-A-Tを押さえた記事の作成につながります。
ただし、ChatGPTをSEOに活用する際は、情報の整合性に注意が必要です。間違った情報を返すこともあるため、回答に記載されている固有名詞などはあらためて調べるようにしましょう。
検索エンジンの需要は減っていきAIチャットボットに置き換わるのか?
Google検索などの需要が減って、ChatGPTなどのAIチャットボットが取って代わるのではないかという疑問を抱く方も多いでしょう。結論から言うと、完全に置き換えられることはないと推測できます。なぜなら、多くのユーザーは検索結果にある複数の選択肢から、自分に合ったものを精査したいと考えているからです。
たしかに、「ダイエットとは」のような、単語の意味を聞くようなクエリでは、ChatGPTのような画一的な回答が重宝されるかもしれません。しかし、「おすすめのダイエット」のようなクエリでは、体験談なども含めた多角的な情報が求められます。そのため、検索が完全に置き換えられるわけではなく、Bing AI Chatbotのように双方のメリットも活かす形式が増えていくでしょう。
現状のコンテンツは、今後も情報源として利用されていくため、コンテンツの質を高めることは変わらず重要です。今後もユーザビリティを重視したSEO施策を進めていきましょう。AIに負けないためには、必要に応じてオリジナリティを付け加えていくことが大切です。
まとめ
ChatGPTとは、OpenAIが開発したAIチャットボットです。これまでのAIチャットボット以上に自然な質疑応答・自動翻訳・文章生成などができ、リリースから約2カ月で1億人のアクティブユーザーを獲得しました。
ChatGPTの登場によってインターネット検索は過渡期を迎えています。とはいえ、現在の検索が完全になくなることはないでしょう。今後のSEOでは、ChatGPTなどのAIチャットボットを活用しながら、オリジナリティのある高品質なコンテンツを作成することが大切です。AIチャットボットが生成したテキストだけのコンテンツは、インデックスされない可能性が高いため注意しましょう。
執筆者:ヒトノート編集部
株式会社ヒトノテのオウンドメディア、WEBマーケティングの学習帳「ヒトノート -Hito note-」の編集部。
監修者:坪昌史
株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。
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