AI×WEBマーケティング 公開日: 2026.09.01

GA4の月次レポートをAIで自動化した記録|どこまでできて、何が残ったか

GA4の月次レポートをAIで自動化した記録|どこまでできて、何が残ったか

毎月のGA4レポート作成に、半日から1日を取られていないでしょうか。数字を拾ってスプレッドシートにまとめ、グラフを作り、コメントを書く。内容の割に時間がかかる業務の代表格です。

結論から書くと、データの取得・集計・整形までは自動化できます。ただし「この数字をどう解釈するか」は残ります。そして実際にやってみると、削減できた時間より、レポートの使われ方が変わったことのほうが大きな変化でした。

本記事では、SEO・Webマーケティングの支援を200社超で行い、自社でもレポーティングを自動化して運用している立場から、どこまで自動化できて何が残ったのかを具体的に書きます。

GA4の月次レポート作成は、どこまで自動化できるのか?

手作業のうち大半を占める「集める・並べる」の工程は、ほぼ自動化できます。GA4もサーチコンソールも、管理画面を開かずにデータを取得する手段が公式に用意されているためです。

GoogleはGA4向けにData APIを提供しており、公式ドキュメントでは「プログラムからGoogleアナリティクスのレポートデータにアクセスできる」と説明されています。用途としてカスタムダッシュボードの構築、複雑なレポート作業の自動化、他の業務アプリケーションとの統合が挙げられています(参考: Google Analytics Data API v1)。

検索流入側も同様です。Search Console APIでは、クエリ・ページ・国・デバイス・日付といった軸でデータを取得でき、各行にクリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位が含まれます(参考: Search Console API searchanalytics.query)。つまり、月次レポートに載せる数字のほとんどは、プログラムから取り出せます。

ここまでは技術的な話で、実は難所ではありません。難しいのはこの先です。

実際に自動化したのは、どの工程か

自社で組んでいる流れは、大きく4段階です。いずれも「判断を含まない工程」に限定しています

まずデータの取得。GA4とサーチコンソールから、前月と前年同月の数字を同時に取ります。この「比較対象も一緒に取る」のが地味に効きます。手作業だと期間を切り替えて2回作業することになり、そこで時間を取られていました。

次に集計と整形。指標ごとに増減を計算し、あらかじめ決めた並び順で表にします。ここは完全に機械的な処理なので、一度組めば毎月同じものが出てきます。

3つ目が、事実ベースのコメント生成です。「セッションが前月比マイナス12%」「特定ページの流入が前年同月比で増加」といった、数字を読み上げるだけのコメントはAIに任せられます。ここは判断ではなく記述だからです。

4つ目がドキュメント化。整形した表とコメントを、決まったフォーマットに流し込みます。人が最後に開いたときには、数字とコメントが埋まった状態のレポートができている、という形です。

この4段階のうち、実務でいちばん効果があったのは1つ目でした。データを取りに行く作業は単純ですが、複数の管理画面を行き来して期間を切り替える手間が積み重なると、それなりの時間になります。しかも作業自体に判断が要らないため、人がやる価値がほとんどない。まずここだけ自動化するのでも、体感はかなり変わります。

自動化できなかったのは、どこか

組んでみて明確になったのは、残る工程のほうが本質的だったということです。3つあります。

数字の異常を「異常」と判断する部分

前月比マイナス10%が問題なのかどうかは、数字だけでは決まりません。季節要因なのか、前月に単発の施策があったのか、母数が小さくて振れているだけなのか。この判断には、事業の状況を知っている必要があります。

条件をある程度は書き出せます。「母数が一定件数未満の指標は変動幅で判断しない」といった形です。ただ書き出せば書き出すほど、例外が出てくる。ここは完全には渡しきれない領域だと考えています。

事業の文脈と結びつける部分

数字が動いた理由は、GA4の中には書いていません。先月にキャンペーンをやったのか、競合が新しいページを出したのか、そもそも営業が別の商材に注力していたのか。レポートの価値は、この外部情報と数字を接続するところにあります

ここを自動化しようとすると、あらゆる社内情報をAIに渡す必要が出てきます。理屈の上では可能でも、手間が成果を上回る。現時点では人が担当したほうが速い工程です。

次に何をするかを決める部分

報告の目的は、次の打ち手を決めることです。「順位が下がったので改善する」までは誰でも書けますが、限られた工数をどこに配分するかは判断そのもの。ここを渡してしまうと、レポートを作る意味がなくなります。

自動化して、実際に何が変わったか

作業時間は当然減りました。ただ、より大きかったのはレポートを見るタイミングが変わったことです。

手作業の頃は、作るのに時間がかかるため月次でしか回せませんでした。自動化してからは、必要なときに最新の数字を出せます。結果として「月末にまとめて振り返る」から「気になったときに確認する」へと使い方が変わりました。振り返りの粒度が細かくなった分、打ち手を出すのも早くなっています。

もうひとつ、数字を眺める時間そのものが増えました。集計作業から解放された結果です。以前は数字を並べ終えた時点で力尽きていた部分があり、正直なところ、解釈に十分な時間を使えていませんでした。記事制作を内製化したときにも同じことが起きています。速くなった分をどこに振り向けるかで、成果が変わります。

これから組む人が、最初にやるべきこと

順序としては、いきなりAPIをつなぎに行かないほうが確実です。まず今のレポートを1枚開いて、載っている項目を「毎月必ず載せるもの」と「そのとき次第で入れるもの」に分けます。

自動化できるのは前者だけです。ここを分けずに全部を自動化しようとすると、条件分岐が増えて破綻します。実際、最初に組んだときは欲張って項目を増やし、結局メンテナンスできなくなって作り直しました。

次に、その固定項目について「どの数字を、どの期間と比較して見るか」を決めます。ここが決まっていれば、あとは技術的な作業です。逆にここが曖昧なままだと、出てきたレポートを見て毎回手を入れることになり、自動化した意味が薄れます。

実際につまずいたのは、技術より前提の部分

組む過程で時間を取られたのは、意外にも認証まわりと指標の定義でした。

認証については、想定していた方法が環境によって通らず、別の方式に切り替える必要がありました。この手の作業は事前に見積もりにくく、初回だけ突発的に時間がかかります。逆に一度通してしまえば以降は問題にならないので、最初の見込みに余裕を持たせておくと精神的に楽です。

より厄介だったのは指標の定義です。管理画面で見ている数字と、APIから取得した数字が微妙に合わない。原因は期間の指定方法やフィルタの条件で、どちらかが間違っているわけではありませんでした。ただ、この差に気づかないまま運用を始めると、レポートの数字が信用されなくなります。最初の1〜2ヶ月は管理画面と突き合わせる期間として確保しておく——これは省略しないほうがいい工程です。

進め方の全体像はマーケティング部門のAI導入ロードマップで整理しています。レポーティングは対象業務として選びやすい部類なので、最初の1つに向いています。

よくある質問

Q. プログラミングの知識がないと組めませんか?

A. API連携から組む場合は必要になります。ただ、Looker Studioのようなツールでデータの取得と可視化までを行い、コメント部分だけAIに任せる形でも、作業時間はかなり削減できます。工程を分けて考えると、着手できる範囲が見つかります。

Q. どのくらいの期間で組めますか?

A. 載せる項目が決まっていれば、最初の形は数日で動きます。時間がかかるのは項目を決める工程のほうで、既存のレポートに載っている項目の要不要を判断するところに一番議論が必要です。

Q. 出てきた数字が正しいかどうか、どう確認しますか?

A. 最初の1〜2ヶ月は、管理画面の数字と突き合わせます。期間の指定やフィルタの条件でずれが出ることがあるため、ここは省略しないほうが安全です。一度合っていることを確認できれば、以降は同じ条件で動きます。

Q. クライアント向けのレポートにも使えますか?

A. 集計と整形の部分は使えます。ただし解釈と提案の部分は、事業の状況を踏まえて人が書く必要があります。むしろ集計を自動化することで、提案部分に時間を使えるようになります。

Q. レポートの体裁を変えたくなったらどうしますか?

A. 項目の追加や並び替えは後から変更できますが、頻繁に変えるなら、そもそも固定項目の選定が甘かった可能性があります。半年に一度見直す程度の頻度に落ち着くのが理想です。

自動化の価値は、時間より「使い方が変わること」にある

GA4レポートの自動化で得られるものは、削減された作業時間そのものではありません。必要なときに数字を見られるようになり、解釈と打ち手に時間を使えるようになる。この変化のほうが、実務では効いてきます。

ヒトノテでは、GA4・サーチコンソールを使った分析基盤の設計から、レポーティング業務の自動化、社内で運用できる状態への定着までを支援しています。自社でも同じ仕組みを運用しており、どこまで自動化できて何が残るのかを実感を持ってお伝えできます。AI導入支援について詳しく見る

この記事を書いた人

坪 昌史株式会社ヒトノテ 代表取締役

リクルートで全社SEOの技術責任者を務め、クラウドワークスでは事業部長として大規模サイトのグロースを牽引。独立後は200社を超える企業のSEO・Webマーケティングを支援しています。エンジニアとしての実装経験を持ち、現在は生成AIを用いた業務プロセスの設計と自動化に取り組んでいます。自社でも複数の専門メディアをAI活用で運用し、そこで得た知見をAI導入支援に還元しています。

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